東京都多摩動物公園


「動物を好きだという気持ちだけでは続かないよ。」
動物の世界を語る目は厳しい・・・。
でも、吉原さんはボスのチンパンジーと毎晩晩酌したことも。「本当に好きなら面白い仕事だよ。」

腰を痛めて、鹿からチンパンジーの飼育担当に。
 
そのチンパンジー社会は厳密な序列社会。吉原さんの序列は一番下。 そこから登り詰めて、ついにボスのジョーと信頼関係をきずく。今春の定年までチンパンジーたちの世話一筋。吉原さんは現在は嘱託の普及指導係として多忙な毎日を送っている。東北大学大学院卒、60歳。

吉原さんとチンパンジーの交流はテレビ等で知っている人も多いと思いますが、チンパンジーとの信頼関係を築くまでには長い時間が掛かったそうですね。

チンパンジーの社会は序列がはっきりしていて、最初は私はその一番下になるわけですよ。この順番を上げるには、ひたすら我慢するしかない。こっちは人間だし、相手は動物、怒りたくなるときもある。でも、それをやったらもう駄目。俺ね、最初は勘違いだと思ったの。「おい、ベティ」って声を掛けたら、「フン」って横を向いた。それで、「おいっ! このやろー、ベティ!」って大声出したら、くるって後ろを向いて、後はもうなにを言っても駄目。でね、しょうがないからお願いしてみたの。「ベティさん、お願いしますから、こっち向いてください」って。そうしたら、こっちに向くんだよ。「小僧、分かったのか」って顔をして。こっちに来てください、握手をしてください、ひとつひとつをやって貰うのに何ヵ月も掛かるんだ。プライドの問題だから、とにかく怒っては駄目なんだけど、大変だよね。毎日、チンパンジーが夢に出てくるんだよ。たまんないよ(笑)。
最終的には序列の一番上になったのですか?



▲今は亡きボスのジョーの写真の前で
もう亡くなったジョーという素晴らしいボスがいたんだけど、ジョーとの一対一なら私の方が上、ジョーが群れを率いているときはジョーの方が上。このくらいの気遣いをしてやらないといけない。だから、私はメス同士でけんかをしていてもなにも言わない。これを仲裁するのはジョーの仕事だし、そこで私が口を出せばジョーの顔に泥を塗ることになってしまう。ジョーとは30年近く付き合ったけど、このボスのおかげで本当に俺は助かった。いいボスだったね。
ジョーがボスとしての自信を喪失したとき、吉原さんのアイデアで救われたそうですね。

うん、ジョーが心労からノイローゼになってしまってね。獣医さんから薬を出して貰ったんだけど、仕事が終わってからジョーの部屋の前に行って、「一杯やるかい?」ってウイスキーのハチミツ割りをあげてみたんだ。コップ半分を二杯くらいかな、飲むと眠くなるんだね。そんなことを二ヵ月くらいやっていたら元気になってきた。飼育の日誌に「ジョーに晩酌させる」と書いたら怒られたねえ、「なんて書き方だ。アルコール投与って書きなさい」って(笑)。
人口アリ塚、自動販売機、UFOキャッチャー。次々とユニークなアイデアを実現してきましたね。

みんな反対されてきたけどね(笑)。業者に頼んだり、テレビ局の企画を出したり、色々と考えたよ。UFOキャッチャーのときなんか、「なにか面白い企画はないですか?」って訪ねてきたテレビ局の人の前で図面を広げてから、わざとその図面をゴミ箱に捨てたんだよ。そうしたら、「それなんですか!」って興味を持ったんだな。あれは、ゴミ箱に捨てたのが良かった(笑)。
★動物園を目指した若い頃
★チンパンジーとの出会い
★飼育係を希望される方へのアドバイス

etc...

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